健康診断の結果を受け取ったあと、まず何から変えるべきか

最終更新日 2026年9月2日 by daisyw

健診の結果が入った封筒を、開けないまま机に置いている。
そういう方は、思っているより多いです。

はじめまして。
管理栄養士の木村涼子と申します。
30代半ばまでスーパーで青果バイヤーをしていて、今は健康保険組合の特定保健指導と食生活相談の窓口に立っています。

相談に来られる方は、結果表を開いた瞬間に「全部やらなければ」と身構えます。
酒を減らして、運動して、野菜を食べて、早く寝る。
それを来週から一斉に始めて、だいたい3週間で元に戻ります。

軽いうちなら、生活を変えることで戻ることがある

厚生労働省のe-ヘルスネットにある健診と検診の違いを解説したページには、検査値の異常が軽度なら、治療をしなくても生活習慣を変えることで数値が改善する場合がある、と書かれています。

裏を返せば、軽いうちに動かなければ治療が必要な段階に近づくということです。

ただ、食事の話の前に確認していただきたいことがあります。
結果表に、次のどれかが当てはまる項目はないでしょうか。

  • 「要精密検査」「要治療」と判定されている
  • 再検査の期限や受診先の指示が書かれている
  • すでに薬を飲み始めている

ひとつでも当てはまるなら、優先順位の一番は医療機関です。
食生活の見直しは、その次です。

変える場所をひとつに絞るなら、野菜の「あと90g」

生活を見直す段階にある方には、私はまず野菜の話をします。
足りていない人が多く、変化が数字で見えやすいからです。

厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査によると、20歳以上の野菜摂取量の平均は1日258.7gでした。
健康日本21(第三次)の目標値は350gなので、差はおよそ90gです。
350g以上とれている人は、男性で26.2%、女性で22.0%しかいません。
40代に限ると男性248.7g、女性217.8gと、健診で引っかかりやすい世代ほど低くなります。

野菜料理は1皿で約70gと数えます。
90gの不足は、小鉢1皿から2皿分。
「野菜をたくさん」より、あと1皿のほうが動きやすいはずです。

青果売場に立っていた頃、野菜が売れない日ははっきりしていました。
天気の悪い日と、週の後半です。
食べたくないのではなく、買って洗って切るまで手が回らない。
野菜不足の正体は、意欲ではなく段取りだと思っています。

足りない分を、どう埋めるか

段取りの問題なら、手間を減らす方向で埋めるしかありません。
カット野菜でも冷凍野菜でも構いません。

消費者庁は健康食品について解説したページで、健康の基本は栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養だとしたうえで、健康食品はその「質を高めるための補助的なもの」だとしています。

青汁もこの枠に入ります。
粉末を1杯飲んでも、野菜を噛んだときの満腹感や食事の組み立ては置き換えられません。
数値が下がる飲みものでもありません。

それでも窓口で名前を出すのは、野菜がゼロの日を減らす手段としては現実的だからです。
選ぶなら、原料の産地や加工の流れを開示しているものを。
たとえば国産の大麦若葉を使った青汁のこだわりを紹介しているページでは、契約農家による農薬不使用栽培であることや、収穫から24時間以内に加工していることが説明されています。

最後に注意点をひとつ。
ワルファリンを服用している方は、青汁を飲む前に必ず医師や薬剤師に相談してください。
PMDAのくすりQ&Aでも、青汁は納豆やクロレラと同様にビタミンKを多く含むため、摂取を控えるよう指導されていると説明されています。

まとめ

やることの順番はこうなります。

  • 要精密検査・要治療の指示があれば、まず医療機関へ
  • 軽度の異常なら、変える場所をひとつに絞る
  • 絞るならまず野菜。目標との差はおよそ90g、小鉢1皿から2皿分

全部を一度に変えた人ほど、翌年の健診までに元へ戻っています。
封筒を開けて、変えるところを1か所だけ決める。
今日はそこまでで十分です。

冷たいお味噌汁が意外と水分補給におすすめだった話

最終更新日 2026年7月13日 by daisyw

こんにちは、元病院管理栄養士の森田です。

現在は在宅で健康・食のコラムを書きながら、幼児と小学生の子ども2人、70代の母との三世代暮らしの中で「家族の水分補給」に日々頭を悩ませています。

病院時代、夏になると脱水症や熱中症で救急外来を訪れる高齢の方を何度も見てきました。
「お茶はしっかり飲んでいた」という方でも、汗で失われた塩分やミネラルが追いついていないケースが多かったのです。

そんな経験があるからこそ、家族の毎日の飲み物にはひときわ気をつかっています。

そんな私が去年の猛暑の夏、母から教わった意外な水分補給法が「冷たいお味噌汁」でした。

「お味噌汁って、温かい飲み物じゃないの?」と最初は半信半疑だったのですが、栄養学の目線で見直してみると、これがとにかく理にかなった一杯だったのです。

お味噌汁は「飲み物」として見ると優秀な水分源

お味噌汁1杯にどれくらいの水分が含まれているか、意外と意識したことはないのではないでしょうか。

たとえばナスのお味噌汁1杯には、約189gの水分が含まれています。
1日に必要な水分量の一部を、食事から自然に摂れる計算になります。

しかもお味噌汁は、水分だけではなくナトリウム・カリウム・アミノ酸・大豆イソフラボンまでバランス良く含んでいます。

汗をかく季節に失われる塩分とミネラルを、飲み物として一緒に補える点は、水やお茶にはない大きな強みです。

栄養士の目線で見ると、実はお味噌汁は経口補水液と成分の構造がよく似ています。
水・塩分・ミネラルという柱がそろっているという意味では、遠からず似た性格を持った一杯なのです。

冷たいお味噌汁が夏に効く3つの理由

温かいお味噌汁を夏場に飲むのは正直しんどい、という方も多いはずです。

そこで登場するのが「冷やして飲むお味噌汁」です。
うちが実感している魅力は、大きく3つあります。

  • 火を使わずに作れるので、暑い日でも台所に立つ負担が少ない
  • 冷たいので、食欲がない朝でもすっと入る
  • 発酵食品としての乳酸菌・酵素が加熱で壊れにくい

とくに3つ目の「加熱で壊れにくい」という点は、栄養士だった頃の私にとっても発見でした。

火を入れずに味噌を溶いた冷たいお味噌汁は、発酵食品としての力を余すことなく味わえる一杯といえます。

ちなみに我が家の定番は、絹ごし豆腐・きゅうり・みょうがを合わせた組み合わせです。
冷やしただし汁に減塩味噌を溶いて、切った具材を落とすだけ。
包丁とお椀さえあれば数分で完成するので、朝の忙しい時間にも助かっています。

宮崎県や埼玉県には「冷や汁」という郷土料理があり、農林水産省のうちの郷土料理でも紹介されるほど、地域に根付いた食べ方です。

日本人が昔から夏を乗り切るために選んできた知恵、と考えると納得感があります。

実は他にも水分補給におすすめの飲み物はたくさんある

冷たいお味噌汁の話を家族にしたら、母から「他にも良いのがあるらしいよ」と教えてもらい、たまたま見つけたのが健康食品会社「株式会社日本薬健」のコラム記事でした。

麦茶・ルイボスティー・ほうじ茶・杜仲茶・青汁など、日常づかいしやすい9つの飲み物が理由付きで整理されていて、「なるほど」と何度もうなずいてしまいました。

冷たいお味噌汁がしっかり紹介されていたのも、個人的にはうれしい発見でした。

くわしい選び方や、逆に避けたほうがいい飲み物については、水分補給におすすめの飲み物9選を分かりやすくまとめた記事がとても参考になります。

夏場のドリンク選びに迷ったら、ぜひ一度目を通してみてください。

塩分の摂り過ぎだけは注意したい

もちろん、冷たいお味噌汁にもデメリットはあります。
いちばん気をつけたいのは、塩分の摂り過ぎです。

お味噌汁1杯の塩分は、味噌の量にもよりますが1.2〜2.2gほど。
1日に何杯も飲むと、あっという間に食塩摂取量の目安を超えてしまいます。

日本高血圧学会も減塩しながら酷暑を乗り切るための6か条で、日常的な塩分増加は推奨しないと明言しています。

我が家では、次のような工夫でバランスをとっています。

  • お味噌汁は1日1〜2杯までを目安にする
  • 減塩味噌を活用する
  • 具材を野菜・海藻・きのこなど多めに入れて、味噌自体は少なめにする

高血圧の治療中の方や、医師から塩分制限を受けている方は、必ず主治医に相談のうえで取り入れてください。

まとめ

冷たいお味噌汁は、水分・ミネラル・アミノ酸を一杯でまかなえる、夏にうれしい一品です。

火を使わず、食欲のない日でも飲みやすく、発酵食品としての力もそのまま活きます。

一方で、塩分過多にならないよう、1日1〜2杯を目安に、具沢山や減塩味噌でバランスをとることが大切です。

「お味噌汁は冬の温かい飲み物」というイメージを一度手放してみると、夏の水分補給の選択肢がぐっと広がります。

麦茶やお水と組み合わせて、無理なく夏を乗り切っていきましょう。